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2002年9月5日変更
FIS
 
2001年2月15日(木)
男子大回転(GS)  -  東館山スキー場
【第8戦】
 
   長野オリンピックが終わって、3シーズン。再び、ワールドカップが志賀高原へやって来た。 国際スキー連盟の、「日本でやるなら志賀高原で!」との強い要望によるもの。 選手たちは、オーストリアのサンアントンでの世界選手権の余韻そのままに、志賀高原へやって来た。  
 
 注目は、大回転の1レースのために、ヘルマン・マイヤーが日本へやって来るか否かだった。が、ヘルマンはやって来た。 レース前日の午後、飛行機と新幹線、クルマを乗り継いで、長野オリンピックの大回転で金メダルを獲得した志賀高原へ。 レース当日は、今シーズンで一番とも言えるほどの快晴。しかし、マイナス15度を下回る冷え込みに、 2回の降雪時に水をまいたというピステは、凍てついていた。ヘルマンも『オリンピックの時より難しい』と言ったほど。 そして、インスペクションが始まった。ヘルマンは、いつものように、一番最後にコースに入った。そして、ゆっくり、入念に、 上り降りを繰り返しながら、コースをインスペクション。前半の急斜面を過ぎるだけで、30分近くも経っていた。 その遅さゆえ、大回転第4戦では、時間オーバーで“失格”という憂き目にも遭っている。最後の急斜面にやって来たのは、 あと数分を残すのみとなった頃。1分を切ったアナウンスに急かされるように、 ヘルマンはゴールエリアに向かいインスペクションを終えた。
  Herman.M
ピステに立って、オリンピックを懐かしむマイヤー。
遠方には、白馬。

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 この日のレースの見所は、ヘルマンとフォン・グリュニゲンの争い。フォン・グリュニゲンは、世界選手権で金メダルを獲得しており、 また、大回転の種目別タイトルを、2年ぶりに奪取したいところ。このレース如何では、その行方も見えてくる。 また、ヘルマンにすれば、世界選手権(4位)の雪辱とタイトル連覇に迫りたいところだった。火曜日に志賀入りしたフォン・グリュニゲンと、 前日の木曜日に入ったヘルマンの闘いは・・・。
 
Hermann.M
マイヤーの滑り
(クリックで拡大:244KB,このお写真は「SKI&SKI」木村之与氏の撮影です)
  Hermann.M
(クリックで拡大:219KB)
 
 1本目、ヘルマンは1番でスタート。1分22秒21でゴールし、そのタイムが全選手の目標タイムとなった。 が、最後まで、誰も抜くことが出来なかった。2位につけたのは、サミー・ウォティラ(フィンランド)で0秒98差、 フォン・グリュニゲンは、2秒68遅れの13位であった。これでレースは終わったも同然である。 確かに『勝負はゲタを履くまで・・・』とは言うが、2本目、ヘルマンは無理する必要はない。 2本目もベストタイムをマークしたヘルマンは、2位に1秒74差をつけて、今季大回転4勝目を挙げた。 2位は、リヒテンシュタインのマルコ・ビューヘル、3位は、ベンジャミン・ライヒ(オーストリア)、 フォン・グリュニゲンは8位に終わった。  
Michael.Von.G
2本目、ゴール前の急斜面でエッジングが甘くなり
落とされたグリュニゲン

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M.Buechel
安定した滑りで2位に入った
リヒテンシュタインのマルコ・ビューヘル

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  B.Raich
これからのオーストリアを担う、3位のライヒ
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GS表彰式
表彰台の3人。
左から、マルコ・ビューヘル、ヘルマン、ベンジャミン・ライヒ。

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 『世界選手権のあと、家で4日間の休養をとってきた。世界選手権のプレッシャー、喧騒から逃れられて、ホッとしている。 オーストリアのプレスも居なく、リラックスしてレースに臨めた。』と、ヘルマンは、技術より心理的要素を勝因に挙げている。 しかしこの日のコースは、固さといい、長さといい、「体力とスタミナを必要とする」もの。 まるで、ヘルマンのためにお膳立てされたようなコースだったことは、誰もが認めるであろう。  1本目のスタート時間、朝10時は、ヨーロッパでは深夜の2時ということで、寝ずにレースに出たヘルマンは、 表彰式には『眠くて目が小さくなっているから』と、珍しくサングラスで壇上へ。約24時間の志賀高原滞在で、 4万スイスフランの賞金(税金を引いての手取りは3万2千スイスフラン、約240万円)を手にしたヘルマンは、 その“のしぶくろ”(キャッシュの入った)をそそくさと懐にしまい、再びクルマ、新幹線、を乗り継いで成田に向かい、 夜8時の飛行機でアメリカに飛び立った。  フォン・グリュニゲンとの得点差を「40点」としたヘルマンは、オーレ(スウェーデン)の最終戦でも勝ち、 大逆転で種目別タイトルを獲得。2年連続、4冠を達成した。   賞金
キャッシュの賞金4万スイスフランを懐にしまうヘルマン
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写真/文 : Hiro.Yakushi
 
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